カンファレンス3 – ナゲット5

血液ベースのアルツハイマー病(AD)バイオマーカーを中年期に測定することは、時期尚早である可能性がある

ルーシー・パイパー(medwireNews記者)

medwireNews: 中年期の血液ベースバイオマーカー測定は、晩年期のアミロイド陽性と有意な関連はないことが、研究によって示唆されている。

しかし、中年期から晩年期にかけてのバイオマーカーの変化と陽電子放射断層撮影(PET)アミロイド陽性との間には正の相関がある、とプリヤ・パルタ氏(ニューヨーク大学、米国)は述べた。

同氏は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアで開催されたアルツハイマー病協会国際会議2024で、この研究結果を発表した。

「アルツハイマー病の病変と神経変性の早期発見は、認知症予防に不可欠である可能性があります」とパルタ氏は説明した。 同氏は、血液ベースバイオマーカーは、脳脊髄液を使用したりPETスキャンを実施したりするよりも「負担が少なく、費用対効果が高く、多様な集団で実施しやすい」ため、地域住民集団における早期発見を容易にする可能性があると指摘した。

同氏は、ロジスティック回帰モデルを用いて、平均年齢58.5歳の中年期と平均年齢76.2歳の晩年期に測定された血漿バイオマーカーによって晩年期のPETアミロイド陽性(大脳皮質全体の標準化取込み値比が1.2超と定義される)を予測できるかどうかを評価した。

対象となったバイオマーカーは、アミロイドβ42とアミロイドβ40の比、リン酸化(P)-タウ181、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)であった。

地域社会でのアテローム性動脈硬化症リスク研究(Atherosclerosis Risk in Communities)に参加した被験者261名のデータが評価され、そのうちの60%が白人、40%が黒人であった。 ほとんどの患者に認知機能障害はなく(73.6%)、アポリポタンパク質(Apo)Eの対立遺伝子ε4を有していなかった(66.5%)。

中年期に測定された血漿バイオマーカーのどれも、19.3年(中央値)(四分位数間範囲[IQR]18.7~19.9年)後に測定されたPETアミロイド陽性と有意な関連は認められなかった、とパルタ氏は参加者に説明した。

対照的に、NfLを除く、血漿中バイオマーカーアミロイドβ40/42比、P-タウ181、GFAPを晩年期の、PETの1.6年(中央値)([IQR]1.1~2.9年)前に測定したところ、血液ベースバイオマーカーに影響を与えることが知られているいくつかの共変量を考慮に入れると、これらはPETアミロイド陽性と有意に関連していた。

考慮に入れられたのは、年齢、性別、人種、学歴、アポE ε4の状態、採血からPETまでの時間、推定糸球体濾過量、肥満度指数、喫煙状況、身体活動、併存疾患(糖尿病、高血圧、冠動脈心疾患など)、総コレステロール、高密度リポタンパク質コレステロールであった。

アミロイド陽性のオッズ比は、アミロイドβ40/42比が2.12と大きく、P-タウ181が1.76、GFAPが1.72であった。

また、パルタ氏は、中年期と晩年期のバイオマーカーの変化についても、それぞれ1.38、1.89、1.62という有意なオッズ比を示した。

同氏によると、この地域住民集団で最も高い分類正確度が得られたのは、晩年のバイオマーカー測定と人口統計学的情報を併用した場合であり、受信者動作特性曲線下面積(AUC)はそれぞれ77%と82%であった。 これら2つの指標にアポE ɛ4の状態を加えても、AUCは82%より高くならなかった、とパルタ氏は指摘した。

同氏は、「この地域住民集団における正確度は、以前の試験と比較して低いか同等であった」と付け加えた。

パルタ氏は、「血液ベースの指標によって、認知症に関連した病態の徴候を生涯のどのくらい早い時期に検出できるかを明らかにするには、さらなる縦断的研究が必要である」と結論づけた。

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AAIC24; 米国ペンシルベニア州フィラデルフィア: 7月28日~8月1日

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