カンファレンス3 – ナゲット3

TRAILBLAZER-ALZ 2試験でのドナネマブの結果は、臨床にどのように適用されるのか?

ルーシー・パイパー(medwireNews記者)

medwireNews: アルツハイマー病協会国際会議2024の示唆に富んだセッションでは、TRAILBLAZER-ALZ 2のデータが、実臨床でのドナネマブの使用(有効性、アミロイド関連画像異常(ARIA)リスク、期間限定の投与など)にどのように関連しているかが討議された。

ペンシルベニア州フィラデルフィアで、ジェニファー・ジマー氏(イーライリリー・アンド・カンパニー)は、TRAILBLAZER-ALZ 2 でのドナネマブの臨床的有効性の概要から始めて、主要なハイライトを参加者に説明した。

3ヵ月ごとの臨床的認知症評価尺度-全般的スコア(CDR-GS)による評価で、76週時点におけるアルツハイマー病(AD)の次の病期への進行リスクが、ドナネマブを用いた場合にプラセボに対して37%低下したこと、および患者の軽度認知障害(CDR-GS=0.5)から中等度AD(CDR-GS≧2)への進行が50%減少したことなどが示された。

有効性は、ベースライン時のタウ陽電子放射断層撮影(PET)値が低値~中値および高値の患者間で一貫しており、18ヵ月時点のAD進行リスクはプラセボに対してそれぞれ39%および38%低下した。

プラセボと比べて優れたドナネマブ治療の臨床的有効性は、年齢、性別、臨床病期、タウPETカテゴリー、アポリポタンパク質(APO)E ε4遺伝子型、人種に基づくサブグループ解析で認められたが、ジマー氏は「一部のサブグループは症例数が非常に少ないため、統計的比較には限界がある」と指摘した。

また、アミロイドPET、血漿中リン酸化(P)-タウ217、血漿中グリア線維関連タンパク質(GFAP)の治療後の減少は、ドナネマブ治療を支持するものであり、試験対象集団全体だけでなく、ヒスパニック系/ラテン系の被験者や黒人/アフリカ系アメリカ人被験者などの過少評価集団でも認められたことを示した。

ARIAリスクの管理

アレッサンドロ・ビッフィ氏(イーライリリー・アンド・カンパニー)は、アミロイド関連画像異常(ARIA)のリスクについて考察し、「クラスに関連した安全性リスクでありアミロイド除去に付随するが、管理できるリスクである」と述べた。

特に頻度の高い症状は、頭痛、錯乱、悪心/浮動性めまいであり、歩行障害、精神神経障害、視覚障害といった症状の頻度は低い。まれな症状としては、痙攣、虚血性脳卒中に類似する場合がある局所障害、脳症などがある、とビッフィ氏は述べた。

TRAILBLAZER-ALZ 2でのドナネマブ投与患者853名に、ARIA-E(浮腫)が24.0%、ARIA-H(微小出血)が31.4%発現した。これに対し、プラセボ投与患者では、2.1%と13.6%であった。

ビッフィ氏は、ARIA-Eイベントは画像検査では(93%)軽度から中等度が主であり、ドナネマブ投与患者の18%が無症候性、6%が症候性であったと指摘した。しかし、重篤なARIA-Eイベントが患者の1.5%に発生し、重篤なARIA-Eを発現した患者のうち3名(0.4%)が死亡した。

研究チームが、TRAILBLAZER-ALZ 2試験、TRAILBLAZER-ALZ 2補遺に基づく試験、TRAILBLAZER-ALZ試験、および進行中の他の試験から追加されたドナネマブ投与患者全体にわたってARIAイベントを調査したところ、大半の患者はARIA-Eのエピソードを1回発現しただけであり、ドナネマブを再導入しても再発する傾向はなく、再発した少数例では無症候性が主であった。

ARIAの潜在的リスク因子を把握するために、42の変数を含む機械学習モデルが適用された。

ARIA-Eの最大のリスク因子は、APOE ε4ホモ接合性であること、2~4回の微小出血があること、ベースライン時の脳表ヘモジデリン沈着症があることで、それらによって、APOE ε4の非キャリアで微小出血も脳表ヘモジデリン沈着症もない場合と比べて、それぞれ4.6倍、2.5倍、2.2倍にリスクが上昇した。

ARIA-Hの最大のリスク因子は、APOE ε4遺伝子型とベースライン時の脳表ヘモジデリン沈着症であった。

抗血栓薬の使用はARIAのリスクを増大させず、抗血栓薬の使用とAPOE ε4遺伝子型との間に相互影響はなかったことをビッフィ氏は述べた。また、ベースラインのアミロイド値と平均動脈圧も、ARIAのリスクにほとんど影響を与えなかった。

同氏は、「治療前に高リスク患者を同定することが、ARIAリスク管理の最初の土台となり、その後に、MRI(磁気共鳴画像法)モニタリングスケジュールの厳守、投与量の漸増、中断、必要であれば中止、重篤または症候性のARIAに対する副腎皮質ステロイドの使用が続く」と結論づけた。

期間限定の投与

エミリー・コリンズ氏(イーライリリー・アンド・カンパニー)は、TRAILBLAZER-ALZ 2のデータによって、期間限定の投与が支持されていることを述べた。

これは、平均アミロイドPET値が24.1センチロイド(CL)という投与中止基準に患者が該当した場合に、低値が維持されるという知見に基づいている。これは24週目に加えて52週目にも認められた。また、プラセボ投与群とドナネマブ投与群の間で、臨床的認知症評価尺度-Sum of Boxes(CDR-SOB)のスコアの差は、治療終了後も拡大し続けた。

治療中止のタイミングを知るという点では、視覚的に陰性のMRIスキャンで判断できる可能性があることをコリンズ氏は述べ、ドナネマブ投与患者の治療6ヵ月後の脳スキャンがアミロイド陰性患者の脳スキャンと類似することを示した。

同氏はまた、ドナネマブ投与を受けた被験者の約3分の2が、24.1 CL未満のアミロイドPET値に12ヵ月目までに達しており、これがスキャンを行うべき時点の可能性があると指摘し、ベースラインのアミロイドレベルの高さが、アミロイド閾値である24.1 CL未満に達するまでの時間に対応していることを付け加えた。

しかし、コリンズ氏は、「現在のエビデンスでは、ドナネマブによるアミロイド除去の判定に血漿P-タウ217を用いることは支持されていない」と結論づけた。その理由として、P-タウ217はアミロイドとタウの両方に相関しているため、アミロイド除去後もタウ病変を反映し続けるためと同氏は説明した。

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AAIC24;米国ペンシルベニア州フィラデルフィア:7月28日~8月1日

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