カンファレンス 3 – ナゲット 2

血液ベースのバイオマーカーによって、アルツハイマー病(AD)のトリアージプロセスを改善できる可能性がある

ルーシー・パイパー(medwireNews記者)

medwireNews: 血液ベースのバイオマーカーを使用することで、アルツハイマー病(AD)治療に適した患者を同定するプロセスを改善できたことが、アルツハイマー病協会国際会議2024で報告された。

シントゥジャー・ヴィグネースヴァラン氏(アムステルダム自由大学、オランダ)は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアで研究結果を発表し、「標準的な診断ワークフローの様々な段階に血液ベースのバイオマーカー測定を含めることで、トリアージプロセスの効率を高め、補助的検査のコストを削減できる可能性がある」と述べた。

レカネマブの適性使用基準に基づき、アルツハイマー病(AD)の疾患修飾治療に対する患者の適格性を判定するための標準的ワークフローの様々な段階に、血液ベースのバイオマーカーパネルの測定を組み込むことの潜在的な利点が評価された。

アムステルダム認知症コホートの参加者のうち、認知に関する主訴があった計997名が、医学的評価を受けた。このうち373名は、臨床的認知症評価尺度のスコアが0.5〜1.0点、ミニメンタルステート検査のスコアが22〜27点であったため、磁気共鳴画像(MRI)脳スキャンの対象となった。その結果、268名の患者は微小出血が4個未満であったため、アミロイドの状態を判定する検査(脳脊髄液(CSF)リン酸化(P)-タウ181/アミロイド-β42、または陽電子放射断層撮影(PET)アミロイド)を受けた。このうち183名が陽性であったため、抗アミロイド治療の対象となった。

アミロイド陽性の患者とそうでない患者を区別するために、特異度95%のヨーデン指標によるカットオフ値を用いてP-タウ217を測定したところ、特異度87%、感度86%でアミロイド陽性患者が同定された。偽陰性率(患者が血液検査では陰性であったが、CSF/アミロイドPETでは陽性と同定された)は32%であり、偽陽性率(患者が血液検査では陽性であったが、CSF/アミロイドPETでは陰性となった)は7%であった。

ヴィグネースヴァラン氏は、脳MRI検査後にP-タウ217検査を行うシナリオでは、CSF/アミロイドPET検査の必要性が49%減少するはずであると強調した。診察後に行えば、MRI検査の必要性が47%、CSF/アミロイドPET検査の数が49%減少するであろうし、診察前のメモリークリニック来院時に行えば、医師の診察の総数が43%、脳MRI検査が47%、CSF/アミロイドPET検査が49%減少するであろう、とした。

ヴィグネースヴァラン氏は、「このモデルは偽陽性率が低いため、患者の過小治療を受け入れることになり、保守的な治療アプローチに適合する」と述べた。

研究チームはまた、低-中-高リスクの層別化モデルを用いて、同じプロセスを検討した。低リスクの層別化のカットオフ値は感度90%、高リスクの層別化のカットオフ値は特異度90%であった。この間に位置する患者を中間リスク群としたが、やはりCSF/アミロイドPET検査を受ける必要があった。このモデルを用いた場合、P-タウ217の結果は偽陰性率5%、偽陽性率24%となり、中間群では71%がCSF/アミロイドPET検査でアミロイド陽性、29%がアミロイド陰性であった。

このシナリオでは、血液ベースのバイオマーカーを測定し、プロセスの様々な段階で使用することで、CSF/アミロイドPET検査が45%、脳MRI検査が43%、医師の診察が39%減少した。

ヴィグネースヴァラン氏は、「このシナリオはヨーデン指標をカットオフ値として使用するシナリオよりもコスト削減効果が低く、偽陽性率が大きいため、PET検査またはCSF検査を受ける潜在的な対象者が多い治療レジメンのほうが適している」と述べた。

この研究結果から、「2つに層別化する(例えばヨーデン指標)方が、血漿P-タウ217に適している可能性がある」と結論づけた。

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AAIC24;米国ペンシルベニア州フィラデルフィア:7月28日~8月1日

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