CTAD – AD患者へのレカネマブの「オンラベル」使用を支持する実臨床のエビデンス

ルーシー・パイパー(medwireNews 記者)

medwireNews:アルツハイマー病(AD)患者に対するレカネマブ使用に関する米国からの実臨床のエビデンスは、患者が適切に選択され、投与とモニタリングのガイドラインに沿って治療を受けており、アドヒアランスが保たれていることを示している。

この知見は、スペインのマドリッドで開催された2024年アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で発表された2つの研究から得られたもので、同様の経験を示している。

最初の研究では、主に2023年10月からレカネマブ治療を開始し、治療開始からの平均追跡期間が129日であった3155名の患者に関するKomodo研究データベースのデータと、その前の12カ月間の臨床活動に関する情報を使用した。

患者の平均年齢は75歳で、大多数は白人(84.3%)、都市部出身(93.3%)であった。女性(55.8%)が男性よりわずかに多かった。発表者のマルワーン・サッバーグ氏(米国アリゾナ州フェニックス、バロー神経研究所)は、「多くの患者が併存疾患を有していた」と述べた。

最も多かったのは脂質異常症(54.4%)と高血圧(45.7%)であった。経口AD治療薬(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬またはメマンチン)は患者の67.6%が服用しており、抗血小板薬は4.1%、抗凝固薬は3.7%が服用していた。

治療開始前の12ヵ月間に、患者の83.8%がADと診断され、60.8%が軽度認知障害を有していた。最初に診断されてからレカネマブ治療を受けるまでの平均期間は4.9ヵ月であり、サッバーグ氏は開業神経科医としてこれは「驚くには値しない」と述べた。

彼は、この患者たちはレカネマブの投与をそれ以外は「オンラベル、予定どおり」受けており、平均して月2回の点滴を16.5日間隔で受けており、磁気共鳴画像法(MRI)の必要性によってこれが遅れることはなかったと述べた。最初のMRI検査は、治療開始後平均46.7日目に行われた。

サッバーグ氏は、患者のレカネマブのアドヒアランス(2回の点滴の間に90日より長い間隔が空かないこと)は、平均4ヵ月の追跡調査時点で85.1%と「非常に良好」であり、患者は「治療と未治療の結果をいったん理解すると」レカネマブの継続に「非常に意欲的」であったことを強調した。

2つ目の研究は、ローレンス・ホーニッグ氏が、米国ニューヨークのアーバイン医療センターで162名の患者にレカネマブを臨床使用した経験について発表したものであり、レカネマブが「安全で管理可能」であり、「患者が広く受け入れ、遵守する」ものであることが明らかになった。

患者の平均年齢は73.2歳、56%が女性、90%が白人であり、2%に皮質脳卒中や出血、3%に血管奇形など、併存疾患が多かった。アポリポ蛋白(アポ)Eの遺伝子型判定は89%に実施されたが、残りの11%は拒否した。

レカネマブ治療の適格性は、MCIまたはADのエビデンスに基づき、脳脊髄液バイオマーカーによって確認された症例が86%、陽電子放射断層撮影(PET)で確認された症例が26%、両方で確認された症例が12%であった。ペースメーカーを使用している患者は2%、抗凝固薬を服用している患者は1%であった。患者のミニメンタルステート検査の平均点は23.6点であったが、11.0点から30.0点の範囲にわたった。

すべての患者とリスクに関する話し合いを行い、「医師として私達が患者に安心して提供でき、そして患者が安心して治療を受け入れられるという条件が満たせていれば」、ベースラインMRIで微小出血が4ヵ所より多くあった患者のみを除外したとホーニッグ氏は述べた。

治療はFDAの添付文書に従って行われ、患者は18ヵ月間に平均13.1回の点滴を受け、最大4回のMRI検査を受けた。アミロイド関連画像異常(ARIA)が疑われたため、予定外の検査が9回行われ、そのうちの1回が陽性であった。

点滴反応の発生率は16%であり、主に悪寒、熱感、頭痛、倦怠感などであったが、入院に至ったものはなかった。

患者の9%で治療が休止されたが、これは主にARIA浮腫/滲出液貯留(ARIA-E)が原因であった。8%の患者は治療を中止した。その中には、ARIA-Eの患者1名、ARIA微小出血(ARIA-H)の患者2名、ARIA-EとARIA-Hを合併したアポリポ蛋白E4ホモ接合体の患者1名が含まれた。このアポリポ蛋白E4ホモ接合体患者は、失語症を発症し、同日MRIを受けたが、翌日てんかん重積状態を発症し、5日後に集中治療室で多臓器不全により死亡した。

ホーニッグ氏は、「残念なことに、重篤なARIA-Eや致死的なARIA-Eは、最善のモニタリング、早期発見、最善の治療を行っても起こりうるが、それほど多くはない」と述べた。

また、「当センターで経験したARIA-EとARIA-Hの発生率は、この薬剤の第2相試験と第3相試験で経験したものと非常によく似ている」と付け加え、発生率はそれぞれ11%と5%であった。ARIA-Eの場合、「一般的に、試験の場合と同様に早期に発生し、重症も時にあったが、たいていは無症状で、数ヵ月以内に消失し、ほとんどの場合、投与が再開された」とのことであった。実際、ARIA-Eの17例中16例は無症状であった。

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CTAD24;スペイン、マドリード:10月29日~11月1日

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