ルーシー・パイパー(medwireNews記者)
medwireNews: CLARITY AD試験の非盲検期間に得られた初期所見によると、レカネマブは、早期アルツハイマー病(AD)患者において24ヵ月まで疾患修飾効果を継続して示し、特に早期の患者に対する有益性が示唆された。
クリストファー・ヴァン・ダイク氏(米国コネチカット州ニューヘイブン、イェール大学医学部)は、ポルトガルのリスボンで開催されたAD/PD 2024でこの結果を報告し、「開始時期の遅延と蓄積低値群の結果は、レカネマブによる治療の早期開始を支持するものである」と述べた。
CLARITY AD中核試験では、1795名の早期アルツハイマー病(AD)患者を、レカネマブ10mg/kgまたはプラセボを2週間ごと18ヵ月間投与する群に無作為に割り付けた。この時点における、臨床的認知症評価尺度(CDR)-SBは、プラセボ群よりも実薬群で有意に低下が少なく、平均差は27%であり、レカネマブ群において有利であった。また、AD評価尺度-認知機能サブスケール(ADAS-cog14、平均差26%)およびAD共同研究-軽度認知障害の日常生活活動(ADCS MCI-ADL、平均差37%)においても、レカネマブ群で有意に低下が少なかった。
その後、参加者はさらに6ヵ月間の非盲検期間に入り、その間、全参加者にレカネマブを投与した。18ヵ月から24ヵ月間、疾患経過は依然として平行であり、CDR-SB、ADAS-cog14、ADCS MCI-ADLにおけるレカネマブ投与患者とプラセボ投与患者の有意差は維持された。つまり、治療開始が遅かった患者が早期開始者に追いつくことはなく、「疾患修飾を示唆している」とヴァン・ダイク氏は述べている。
18ヵ月後にレカネマブ治療を開始した患者が継続して治療からメリットを得ているかを調べるために、ベースラインの人口統計学的および臨床的特徴についてCLARITY AD集団とマッチングさせた過去の対照群(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)を用いた。これらの患者の疾患経過は、18ヵ月まではCLARITY ADプラセボ群と同様であったが、その後18ヵ月から24ヵ月の間に「低下の加速」がみられたのに対し、レカネマブへの切り替えはより疾患の安定と関連していた、とヴァン・ダイク氏は述べている。
ヴァン・ダイク氏は、また、タウ陽電子放射断層撮影(PET)サブスタディ(n=342)から得られた探索的分析結果に基づき、特に早期病変を有する患者に対する転帰の可能性についても議論した。このサブスタディでは、18ヵ月時点で試験集団全体と同等の有効性(CDR-SBの低下が有意に37.9%減少)が示され、レカネマブ投与によりプラセボ群と比べてタウ蓄積の広がりの、特に側頭葉領域における遅延が認められ、試験期間中、タウ蓄積が低値(SUVR 1.06未満)の141名と中~高値(SUVR 1.06~2.91以上)の201名でアミロイド蓄積が一貫して減少した。
18ヵ月時点で、タウPET検査が低値の患者の推定93.3%が、アミロイドPETクリアランス(<30センチロイド)を得たのに対し、中~高タウPET患者では56.9%、全タウPET亜集団では71.8%であった。
このことは、「タウ蓄積が低い患者、つまり早期の段階にある患者は、臨床的に安定または改善している」ことを示唆しており、「早期段階の患者はよりベネフィットが高い可能性が提起される」とヴァン・ダイク氏は示唆している。
タウPETサブスタディの被験者数が比較的少数であったため、ヴァン・ダイク氏らの研究チームは、CLARITY AD集団全体のアミロイドPETレベル60センチロイド未満に基づいて、同等の病期を推定した。
探索的解析によると、これらの患者では18ヵ月後のCDR-SB、ADAS-cog14、ADCS MCI-ADLの低下がさらに減少し、51%、69%、72%であった。全集団において、これらの患者は24ヵ月時点までレカネマブから継続して効果を得た。
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AD/PD 2024; ポルトガル、リスボン:3月5日~9日